おはようございます。もう5月も最終盤ということで気温の変化が激しいので風邪には気を付けましょう。私はだいぶ百日咳が治りました。
さて、今回書評していくのは「科挙 中国の試験地獄 (中公新書) 」
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科挙というのは有名ですが、語彙を押さえておきましょう。
中国では官吏選任は選挙といわれ、漢の武帝の時の郷挙里選で最初の整備が行われた。その後、三国時代の魏で九品中正制が始まったが、門閥貴族による高級官僚独占の弊害が生じ、有効な人材登用には至らなかった。そこで隋の文帝(楊堅)は九品中正制を廃止して、587年に学科試験による官吏登用制度を始めた。その制度が「科目による選挙」という意味で「科挙」と言われるようになった
https://www.y-history.net/appendix/wh0302-005.html より引用
簡単に言うと中国で昔あった官僚(官吏・役人)を選抜するための試験のことです。
いつの時代も試験というのは嫌なものですが、現代社会において試験やテストというのは逃れられないもの。働くと勉強するだけでお金や社会的に学生でいられるというのは本当にありがたいことがなんだなと気づかされますが・・・
さて、それでは書評していきます。
①科挙は古典をひたすら丸暗記+古典の解釈を記述する日本の司法試験をさらに難しくしたような感じ
この科挙ですが、出題内容は中国の古典を全部覚えることから始まります。
単純に言うと丸暗記が求められるわけです。その量が尋常ではなく、辞書なみに厚い本が何冊かできる程度のものを一言一句間違わずに覚える必要があります。
もう考えるだけで吐き気がしますね。
あと、読んでいて思ったのは現代で必須の自然科学などは出題されないところが印象的でした。これだけの試験をやっても国力が上がらなかったというのは教訓にするべきでしょう。イギリスや日本に戦争で負けてしまいましたから。
つまり努力の方向性や時代に必要な知識を学ぶことが大切になってくるわけです。
今は中国は科学技術大国になっていますが・・・
②試験実施の方法が不謹慎だけどおもしろい
教科書にも載っている写真を見たこともある方がいると思いますが、カンニングのために服にびっしりと文字が書かれたものがあります。
これは試験方法が一度試験場に入れると受験者が多いのでその間を見てカンニングをするみたいです。当然ばれたらとんでもないことになりますが。
また当時は戸籍等が整備されていなかったため、老人が髭を剃って14歳で通して受験(15歳以上から試験内容が難しくなるシステム)をするというとんでもエピソードなどもありました。試験官からは証拠がないため、14歳で通していたそうです。
こんなところでしょうか。何段階も試験が行われ晴れて官僚になると絶大な権力を得ることができるということですが、労力にたいして余りに対価がやばいなと感じる本でした。
試験や入試が終わった後の人生の方が長いのですから、考え物ですね・・・
あと古典は大事ですが、それよりも現代では自然科学の方が大切でしょう。
時代に何が必要かを読む力も大切になってくるという教訓が学べる本になっております。
