飛び立つ飛び立つ君の背を見上げる読了いたしました。
感想は標題の通り120点! 大満足の内容です。
やはりこのなかよし川コンビが私は一番ユーフォで好きだと実感させられました。
吉川優子 中川夏紀
さて以後ネタバレ注意です。心に響いた名言を紹介しますが、この本だけ読むのではなくユーフォシリーズを全て読んだ後に、この本を読むともうカタルシスがものすごいので全て読むことをお進めします。
「たとえばさ、トランペットでは絶対に負けたくないって思っちゃったら、それを吹く場所をなくしたときのダメージすごいやん?」 P245より吉川優子
これものすごく分かります。我々凡人でも絶対に負けたくないという思いを抱えながら生きているのが人間の本質でしょう。優子は一歩大人というかその一つに依存してしまうことの怖さを実感しているという台詞でしょう。
ただ大谷翔平や梅原大吾のように本当の天才というのはもうこれしかないという道を極めに極め、ものすごい結果を出しているのです。不思議とそういう人間に憧れを持ってしまうのが人間の性ではあるのですが・・・・
情に深すぎるのは彼女の短所であり、大きな長所でもあった P245
吉川優子の夏紀からの評価です。常日頃おもうのですが性格だけに限らず物事は両側面を持っています。短所をダメだと思うのではなく逆転の発想でそれを長所として捉えていくのは人生においても大切な気がする私でございます。
後悔したいと思って生きているやつなんてどこにもいない。だが、頭では分かっていてもそのとおりにやれないのが人間ってものだろう
桐生一馬が言っても違和感なさそう。そうなんです。頭で分かっていてもできない。
それをいかに実行に移すかが鍵を握ります。
「うちがいい人に見えるんは、優しいからでも性格がいいからでもない。ただ、無関心だったから。どうでもいいって気持ちを、みんなが寛大だやと誤解している。うちは絶対にいい人なんかじゃないのに」中川夏紀 P296
この文章は夏紀の自己評価です。夏紀は本心はこれだったのかもしれないですが、周囲の人は彼女を優しいと慕っているのです。ここが大事なポイントで周囲の人にどう写るかと自分の評価ってけっこう違っていることが多いです。
それに対して優子のベストアンサーが以下の文章
「アンタがどう思っているかなんて、それこそどうでもいいっての。優しくされたほうはうれしくて助かって、頑張る理由になった。だからアンタに感謝してるの。こっちの感謝をねじ曲げようやなんて、それこそ身勝手な理屈やな」P297
言うことなし。優子の性格だからこそ出る発言のような気がします。
やはりこのコンビは最強ですね。イタチと鬼鮫なみにベストパートナーです。
嘘だ。本当はオンリーワンの存在に憧れている。才能やセンスで他者を圧倒する、替えの利かない人間になりたい。だけど夏紀は、自分がそんな存在からほど遠いことを知っている。P299
「いくらでも代わりがいるなかで、うちはアンタを選んでこうやって一緒にいるワケ。代わりがないからじゃなくて、代わりがいくらあってもアンタを選ぶ」P300
吉川優子
もうこの二つ文章に彼女らの関係性の本質を捉えていると思います。
やはり優子は部長として最強ですね。いくらでも代わりがいるなかで夏紀を選んだ。
自分を俯瞰して見ることのできる夏紀にこれほどささる言葉はないのではないでしょうか?
やはり言葉というのはいいものですね・・・